ことばは自分を傷つける
ある経営者の方と話した後、
会社員時代の一場面を思い出した。
私が事業所長の秘書をしていたころのこと。
人も少なくなった遅い時間に、所長室から
怒鳴り声が聞こえた。
「だから、君はいつまでたってもダメなんだよ!」
しばらくして、怒られた方が生気を失った顔で出て行った。
空気が静まるのを待って、片付けるために、ドアを開けた。
所長は、頭を机にたたきつけるよう、突っ伏されていた。
胸が締めつけられるような痛みを感じた。
ふだんは人に弱い部分を見せない方。
私には涙を見られたくないだろうと、そっと立ち去ろうとした。
「熱いお茶、置いときますね」と、声だけかけて。
すると、所長は顔をあげられて、
「あんなこと、言っちゃいかんなぁ」「だめだなぁ、私は」と、
独り言のようにつぶやいて、涙を流された。
人を傷つけることばは、
何より自分を傷つけることを知った。
汚いことばを使ってはいけないという意味を、
実体験で学んだ。
お2人とも、会社や事業をよくしたいという思いは同じなのに、
ことばがお互いを切り裂いてしまった。
やるせなかった。
私が、管理職の板ばさみ的なストレスを和らげたい、
組織のコミュニケーションの仕事をしたいと思った、
きっかけの1つ。
久しぶりに思い出して、お会いしたいなぁと懐かしくなった。
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