あきらめない強さ
電車の中で、
心があたたかくなる場面に出会った。
私の隣に立っていた50代くらいの女性が、
電車が揺れるたびに、
足元のバランスを崩して
周りに寄りかかっている。
突然、漫画を読みふけっていた学生風の男性が席を立った。
「座ってください。」
「いえ、すぐ、降りますから。。。」
「じゃあ、降りるまでだけでも。」
その二言目が言える人が、どれくらいいるだろう。
申し出を断られたら、たいていあきらめてしまうのに。
ぶっきらぼうで有無を言わさぬ雰囲気もあって、
その女性も促されるままに座られた。
お世辞にも清潔とはいいがたい服装で、
つんつんに逆立てた茶髪で、
重そうなアクセサリーをぶらさげて、漫画を読んでいた、
いかにもイマドキの学生さん。
その心の中は、思いやりと勇気に満ちていたのね。
そんな彼の隣に立っているとうれしくなって、
疲れきっていた私の心も体も、すっかり軽くなった。
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