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2010.07.30

支援制度の壁

公開ブログに書くべきではないかもしれないけれど、
あまりにも悲しすぎて、心の中にとめておけない。


3年以上のおつきあいになる起業家さんから、
面談希望のお電話が、7月7日の朝に入った。

専門家派遣制度を活用できるよう、
窓口となる公的機関にすぐに連絡をとり始めた。

が、そこからまったく手続きが進まないまま、
何度交渉しても、担当者と全くかみあわないまま、
納得のいかない形で決裂した。

依頼者の新規事業にもタイミングやリミットが迫り、
ヒアリングを電話ですませていただき、
書類作成と並行して早急にご支援に行けないか、
ない知恵を絞って、相談の電話をかけた。


すると、
「こちらは決まった手続きどおりに進めていて、
 間違ったことはしてません。」

「本来、依頼者からうちに来てもらうべきもので、
 それをこちらから連絡しても、連絡もとれなくて
 何を考えているのか、わかりません。」

「この案件が通らなくても、他にもたくさん依頼が
 来てるので、うちとしては困らないんですよ。」

「この案件が通っても、どの先生にお願いするか、
 決定権があるのは、私ですよ。
 担当できると勘違いしてませんか?
 まぁ、そんな意地悪するつもりもないですけど。」

「やり方を守らない、いい加減な先生がいるから、
 地域力連携拠点が事業仕訳にあったんですよ。」

途中から、私の聴き違いではないかと耳を疑い、
通話を録音した。
後で聴き直しても、やはりそうおっしゃっていた。

  私が理解・確認するための目的で、
  相手には無断で録音したものなので、
  第三者には聴かせず、責任をもって消去します。


最初は、一生懸命、下手に下手に、
「何かいいお知恵はないでしょうか?」
「お客さまの新規事業のタイミングがぎりぎりに
 なるので、間に合わせたいのですが」
とお願いしたり相談したりしていたけれど、
依頼者さんや、私自身や、旧制度を批判されて、
私の依頼内容も誤解されて、
あいづちをうつ気力もなくなり、交渉を断念した。


電話を切ったあと、涙が止まらなかった。

新規事業を検討する大事な時期に相談してくれて、
一番忙しい時期にさしかかるのに、
手続きを待ってもらっていた事業者さんに申し訳ない。


どうしてこんなことが起こってしまったのだろう。

私がよくお世話になっている別の会議所の係長さんに
その商工会議所の課長さんをご紹介いただいたところ
まではスムーズだった。
課長さんは親身にお話をきいてくださり、
少し難しそうな条件がクリアできるよう、アドバイスを
いただいて、すぐに部下の方につないでくださった。

そこから3週間以上たって、審査の入口にさえ到達
しないなんて、想像もできなかった。


私ももう少し間に入ることはできたかもしれないし、
依頼者さんも、自分から何度も連絡してもらえば、
進展する余地はあったのかもしれない。

が、その方の現在の事業の柱は学習塾で、
最初から、20日以降は夏期講習で忙しくなるため、
それまでに進めていただくよう、お願いしていた。

そもそも、それまでの間に連絡がとれなかったのは、
「何度か電話したけど、つながらない」という理由。
それは、会議所名簿に登録されている電話番号が
変更になっていたためで、そこに何度かけても
つながるわけはない。

それも、私から「その後どうなっていますか?」と
問い合わせるまで知らされず、時間が過ぎていた。
私とは連絡がとれているのだから、私に確認すれば
解決することは、考えたらわかるとおもうのに。


依頼者の方とは、3年以上前、当時私が担当していた
大阪府の窓口相談で出会った。

その後、
知事が変わって大阪府の経営相談窓口が廃止され、
地域力連携拠点ができて、私の担当窓口が変わり、
それも事業仕訳で廃止され、
次は、新設された中小企業応援センターができて、
・・・
と、制度が変わるたびに、
新しい窓口まで足を運び、、
事務局の方に事業内容を最初から説明されて、
様式の異なる申込書を記入して、
根気よくおつきあいしてくださっている。

たまたま最初に相談した私に、
継続的に支援を受けたいというだけなのに。


窓口相談や数回の派遣制度は、初歩的な相談で、
同じコンサルタントの継続的な支援を望んだり、
自分の都合に合わせてもらいたいのなら、
個別契約するべきという考え方があるのはわかる。
私からもそう説明することもある。

ただ、便利に使える制度があって、
本来は手続きや報告がそんなに煩雑ではないので、
うまく活用すればいいと思う。

実際、その後、別の窓口からのご依頼では、
約1週間後には、支援先企業を訪問できたので、
今回のケースがイレギュラーすぎたのだと思う。


とはいえ、今後の対策はどうしたらいいのだろう。
これまで継続的にご支援している経営者さんから、
最近、連続してご相談のお問い合わせをいただく。

公的機関のように無料とはいかないけれど、
超格安料金で、対面で相談できるしくみを設定した
ほうがいいのかな。

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コメント

悲しい結末、やるせないです。

制度的な欠陥があるので、なんとも言えません。

公的セクションもプロコンも、顧客の立場で仕組みをこうちくしていかなくてはなりません。

LONGさん、ありがとうございます。
制度の問題というより、1人1人の意識の問題なのかなぁと思います。
スムーズに進んでいるところもたくさんあるでしょうし、

身を粉にして献身的に支援されている担当の方も何名も存じ上げています。
忙しいときなど、私も本当にお客さまのために動けているか、自戒しながらがんばります。

お疲れ様でした。

私も、いろんな公的支援機関で長くお仕事させていただいて、支援のあり方について、いろんな方と時に熱く時に激しく議論しています。

ひとつ問題の根本にあると思われるのは、公的機関にとって、また支援者たる私たちにとって、顧客は誰か、ミッションは何か、成果は何で測るか・・ということ(つまり、民間企業にとってはしごく当たり前のこと)について、明確な共通認識が不足している、ということです。
単なるオペレーションの問題ではないように感じます。

支援者のひとりとして、これからもしっかり考えていきたいと思います。

同じ事業でも事務局と専門家が違う方向を見ていてはうまくいかないときがありますね。
同じ事業を何回か利用して支援業務を行いましたが、報告書のやりとりで若干の食い違いが発生したぐらいで、今回のような大問題というほどではありませんでした。
それにしても今回の応対はありえませんね。向いている方向もそうですが、自分の一言一言が会議所のイメージも損ねていることに気がついていないのでしょうね。
他人事ならぬ憤りを感じています。

☆きたぐちゆきこさん
 ありがとうございます。
 高校野球の女子マネージャーがドラッカーを愛読する時代(^^)、誰がお客さまなのか、などを常に考えて行動したいと思いました。
 私にとって、一番のお客さまは事業者さまですが、会議所の職員さんもお客さまの1人には違いありませんし、全てが満足する答えを追求する道はまだまだ遠いです。

☆安田勝也さん
 ありがとうございます。同業者に共感していただくと、救われる思いでほっとします。
 私も他の窓口を通じては、この制度をありがたく活用したこともありますし、大半の方は一生懸命にお仕事をされているのを知っているので、めげずにがんばります。
 今回の窓口を経由することはないと思いますが。。。

私も担当者によって大きく対応が変わるということはよくあると感じています。

同じ事業を使っているのに、どうしてこうも手続きが違うのだろうかと悩んでしまうこともあります。

また、同じ姿勢で支援しているのに、一方では「あんたみたいな専門家は初めてだ。」と”あんた”呼ばわりする人もいれば、「他の案件もできるだけ先生にお任せしたい」と言ってくださる人もいる。

言葉の行き違いや取違いというのはよくある話だけど、それをそういうことはよくあることだからときちんと考えてくれる人と、そうでない人の違いなのかな。

佐川さん、ありがとうございます。
年齢とか立場に関係なく、人として気持ちよくお仕事したいです。

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プロフィール

  • ひとのわ 福住昌子

    ひとのわは、
    ビジネスとこころの
    パートナーとして、
    人材育成、
    組織・チームづくり、
    コミュニケーションに関する
    コーチング、
    コンサルティング、
    参加型研修・講演を
    通して、
    一人ひとりが持っている
    大きな力を引き出し、
    組織やチームのビジョンも
    個人の夢や目標も
    叶えられるよう、
    全力で支援します。

    ・中小企業診断士
    ・国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
    ・CRRグローバル認定プロフェッショナル・システムコーチ(ORSCC)
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