「ツナグ」を読んで会いたい人を思う
辻村深月さんの「ツナグ」を読んだ。
「ツナグ」 辻村深月著 新潮社
「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」「本日は大安なり」と、
昨年から辻村深月さんの作品を続けて読んで、
女性の本音や素直な感情をうまく表現される作家さん
だなぁと、気になっていた。
「ツナグ」も、そんな作風かなと手に取ってみたら、
心の深いところをえぐられるような感じで、
ぐいぐいひきこまれた。
ネタバレにならない程度に書くと、
使者を通じて、あの世にいるお1人と一生に1回だけ
会うことができるというお話。
アイドル、親、親友、恋人に会いに行く4つの短編と、
使者のお話が1編。
どれも、生前の相手に伝えたい思い、葛藤、願いなど、
切ない感情があふれる。
生々しい感情が描かれ、よいことばかりでもないのに、
泣いた後のようなすっきりした読後感が残る。
私も、向こう岸の、会いたい人を思う。
祖父、祖母、姉。
そして、私が生まれる直前に亡くなった曾祖母。
このお話では、私が会えるのは1人だけ。
相手にとっても、会えるのはたった1人だけ。
使者に会えたら、お願いするとして、
それまでは、
来週、お盆に、納骨しているお堂にお詣りして、
祖父母や姉、曾祖母の魂と、
今まで以上に丁寧に向かいあってこようと思う。
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