« 5月スケジュール | トップページ | 70代女性のアパレルブランド「ココわく」 »

2015.04.23

「殺人犯はそこにいる」に情報の怖さを思う

ジャーナリストの清水潔さんが書かれた、
「殺人犯はそこにいる」を読む。


殺人犯はそこにいる 清水潔 新潮社

菅家さん冤罪事件として話題になった
北関東連続幼女誘拐殺人事件を、
関係者から圧力や妨害を受けながらも、
気が遠くなるほど粘り強く現場取材を続け、
冤罪であることを早くから突き止め、
真犯人もほぼして警察に情報提供したのに、
なぜ??
というプロセスを暴いたノンフィクション作品。


当時の菅家さん釈放の報道は私も記憶にあり、
多くのマスコミの論調のとおり、
無実の方の自由な生活が奪われたことに
怒りを覚えつつ、
せめて、冤罪が晴れてよかった、と
一件落着のような気持ちになっていた。

けれど、
清水さんがおっしゃるように、
冤罪が晴れる=事件解決ではなく、
つかまっていない真犯人が「そこにいる」
ということ。
事件は、なんら解決していない。

考えれば当たり前のことなのに、
釈放された笑顔の映像ばかり見ていると、
感情に流されて、
そんな当たり前を見落としてしまう。

遺族の方々は、わが子はいったい誰が?と
悲しみや怒りが蒸し返されるのに、
世間は解決ムードに満たされて、
終わったことになってしまう。


受け身の姿勢で情報に流されてしまい、
真実に気づかないことの怖さを思う。

そこに疑問を向け、
いったん下った判決の矛盾を突き、
徹底的に権力や妨害と戦って取材した記者と
TV特番を決意した上司や
記事を掲載した雑誌社など、
気骨のあるジャーナリスト魂に感服する。


不祥事をごまかそうとする捜査関係者に対して、
遺族のお母さんがおっしゃったという
「ごめんなさいが言えなくてどうするの?」
というまっすぐなことばが、
強く印象に残った。

« 5月スケジュール | トップページ | 70代女性のアパレルブランド「ココわく」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「殺人犯はそこにいる」に情報の怖さを思う:

« 5月スケジュール | トップページ | 70代女性のアパレルブランド「ココわく」 »

プロフィール

  • ひとのわ 福住昌子

    ひとのわは、
    ビジネスとこころの
    パートナーとして、
    人材育成、
    組織・チームづくり、
    コミュニケーションに関する
    コーチング、
    コンサルティング、
    参加型研修・講演を
    通して、
    一人ひとりが持っている
    大きな力を引き出し、
    組織やチームのビジョンも
    個人の夢や目標も
    叶えられるよう、
    全力で支援します。

    ・中小企業診断士
    ・国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
    ・CRRグローバル認定プロフェッショナル・システムコーチ(ORSCC)
無料ブログはココログ