事業承継と「ME AND MY GIRL」
後で書こうと思っているうちにずいぶん日がたったけれど、
何度も再演されている「ME AND MY GIRL」で、
初めて、マリアおばさんの気持ちに感情移入したので、
関連記事:「花組「ME AND MY GIRL」を見上げる)(2016.06.04)
事業承継と人材育成の視点で、この作品を語ってみる(^^)
マリアおばさんこと、ディーン・マリア侯爵夫人は、
由緒あるヘアフォード家を存続させるために、
当主の血を引くとはいえ、下町で生まれ育ったビルを、
上流階級のお世継ぎにふさわしい紳士に教育しようと
力を注ぐ。
同じく下町育ちの恋人サリーを引き離し、
上流階級らしい言葉遣いや立ち振る舞い、
先祖の歴史や家訓を1から教え込もうと苦心する。
そんなマリアを、これまで私は、
ビルとサリーの恋を邪魔する意地悪な人に見えていた。
今回は、
おばさんを演じるには若いゆきちゃん(仙名彩世さん)が
演じたせいか、マリアのひたむきさにひかれた。
伝統や格式を重んじることが正しいと心から信じるからこそ、
その価値観に従って、
大切なお家を守りたい一心でとる言動で、
むしろ、純粋でかわいらしい女性と思えた。
そして、私の職業病的に(^^)、
創業社長や伝統企業の経営陣と、若手後継者の
対立の構図に似ているなぁ、とさえ思えてきた。
経営理念や古くからの仕事のやり方や商品、人などを
そのまま守って引き継いでほしいベテラン勢と、
時流に合った新しい風を吹き込みたい若手後継者。
後継者に力があったり、内部に不満が蓄積したりすると、
真正面からぶつかったり、クーデターが起こったりして、
大塚家具やセブンアンドアイなどのように、
創業者やベテラン経営者が失脚を余儀なくされる。
創業者やベテラン側がカリスマ的で力が強すぎると、
ソフトバンクやユニクロのように、引き継ぎが難しくなる。
どちらも、正しいと思うことを一生懸命やっているだけ。
「ME AND MY GIRL」では、
ジョン卿の機転と愛情で、
サリーを温かく励まし、マリアを愛情深く包み込み、
全員がHappyになる道筋が描かれた。
お家騒動的な問題が起こっている企業も、
ジョン卿の知恵を借りれば、歩み寄れるかもしれない。
内部にジョン卿がいればベストだけど、
外部から支援をする私たちのようなコンサルタントが、
ジョン卿になればうまくいくのかもしれない。
いつのまにか、この作品の主役が、
ビルとサリーよりも、ジョン卿とマリアに見えてきた。
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