「坂の途中の家」の臨場感ある世界
研修の企画や資料作成が続くときは、
次のお仕事に完全に意識を切り替えるために、
小説を読むか、宝塚の映像を見るか、
短時間で深く仮眠するか、
別の世界に没頭するのが、私のパターン。
今回は、ことばの世界にひたりたくなって、
角田光代さんの「坂の途中の家」を読む。
珍しく、撃沈(^^)
湊かなえさんのイヤミスよりも
はるかに重い読後感。
読後というより、読んでいる最中から、
ドロドロとした苦しい感覚がまとわりつく。
私は女性と家族の葛藤を扱うストーリーが苦手で、
作者の文章力とストーリー構成がうますぎるのか、
主人公の女性と夫、彼女と姑、彼女と娘、など
あまりにもなまなましい感情が何重にも描かれて、
映像が浮かぶのを通り越して、
実際にその場にいるような錯覚さえ起きる。
幼い娘を死亡させた母親の裁判員裁判に
補欠の裁判員として過ごす数日間のお話で、
小説は裁判が結審を迎えて終わるけれど、
その後も、この主人公の女性は、
裁判前の気持ちに戻って家族と接するのは
難しいだろうとなぁと、
小説の中の人なのに、余計な心配をしてしまう。
お仕事の気分切り替えにはならなかったけど、
1冊でこんなに影響を与える作家さん、
すごいなぁ。
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